先輩社員の声
海外であらためて感じた、人と想いをつなぐ商社の魅力。
牛島 和彦
大阪樹脂部 第1課 2006年入社
海外であらためて感じた、人と想いをつなぐ商社の魅力。
牛島 和彦
大阪樹脂部 第1課 2006年入社
2013年に当社が香港島田を設立してから中国に行きはじめ、徐々に頻度が高くなり、現在は2ヵ月に一度1週間から10日現地に滞在しています。営業エリアとしては深センを中心に蘇州や大連など。
お客様に材料を提案し、ご承認をいただいたのち、外注先である中国の工場で製品を生産してもらう、という流れですね。
ただ、当社が実際に製品を納めるべき中国の工場へ最初に行ったときに、警戒されてしまうことがあるんです。
「この材料ならばウチの工場は独自のルートで調達できる」と言われたり、「なぜ日本の商社から買わなければならないのか」だったり。お客様には材料の調達はまかせていただいているので、実際には当社経由でしか手に入らないのにも関わらず、です。契約工場に、島田商会という存在を認知してもらうところからビジネスを始めるということになるんですね。
いったん門前払いされてしまって、どうしようかなと夕飯を食べていると電話が入ってくる。やっぱり「独自ルート」では手に入らなかったんだな(笑)と、翌日あらためて仕切り直しにいくわけです。
当社も、お客様から仕様通りの製品を作るためのサポートを任されています。加えて、導入後のスムーズな取引きも考えると、こちらのやり方を押しつけるだけでは上手くありません。
大変なことや戸惑うこともありますが、難局を乗り越えるカギは、人種は違っても人間関係だと思います。人間性を買ってもらうよう、信頼をつくっていく。説明を尽くして、真摯に対応していくしかない。
お酒の席で心が通うのも日本と同じですね。おかげで中国のお酒「白酒(パイチュウ)」には強くなりました(笑)。
商社は売り手と買い手をつなぐ、その中間の立ち位置にいます。お客様のなかには売り手と買い手がダイレクトに取引すべきだと感じる方もおられるかもしれません。ですからそこにプラスアルファを創造して、商社がいることの価値を認めていただかなければならない。
私の部署では合成樹脂というプラスチックの原料を扱っていますが、膨大な種類の樹脂のなかからお客様のご要望に合ったものを的確にご提案することで、製品化へのスピード、クオリティが上げられるようになります。ご要望の機能をもった樹脂を探して走り回ることもありますし、目的の素材がみつからなければ、手法や設計での補い方をアドバイスしたり。ときに、価格交渉や納期調整といった中間にいるからこそできる弾力的な働きかけを提供する。
こうした能力を我々が発揮して、売り手と買い手の間を円滑につなぐことで、どちらにも満足いただけるようにビジネスを導いていくわけです。商社の存在価値を認めていただき、なくてはならない存在になれるよう努めていかねばと思っています。
モノを持たない商社にとっての一番の財産は情報です。お客様の知りたいに応えるための情報収集と、適切なご提供。その情報力を活かし成功した例が照明のLED化でした。
私たち樹脂部では照明関連の材料を多く扱っており、売り上げのなかでも大きな割合を占めています。2011年の東日本大震災以降、消費電力をおさえるために、蛍光灯からLED照明への移行が急速に進み、照明に使われる樹脂部材もどんどんと変化していったんです。
この時には、それ以前からの知識を活かしながら、お客様のご要望にこたえて、大きな流れをつくることができました。環境を見きわめ時流に乗れたのは、普段からの情報収集とその蓄積によるところが大きかったんです。
後輩から質問を受けることは多いです。わかることならば答えますし、逆に私もわからないことは調べてもらい共有させてもらう。若い頃に上司や先輩から受ける影響が大きいことは私も実感しているんですよ。
じつは入社当時、仕事がうまくいかず悩んでいた時期がありました。
いま振り返ると、意見をもたずに上司に報告や相談をしていたんですね。なにか疑問があったなら、自分なりに事前に調べて「だから、こうやります」という意見までふくめて相談にいかなければ、考える力が育たない。
それができなくて悩んでいるとき、当時の上司に「興味や好奇心をもって仕事をしなさい」という言葉をもらいました。扱っているプラスチックにこんな性能がある、こんな風に使える、こんな可能性があるかも、という興味をもつと、徐々に楽しくなってきたんです。興味をもって覚えはじめるとプラスチックへの理解も深まってくる。お客様への提案もできるようになった。そこからがぜん仕事が楽しくなっていきましたね。
中国でも、日本でも仕事していますが、最近感じるのは日本の方がシビアかもしれないということです。利益追求というか数字だけを見ているような。もちろん商売をするのですから厳しい面はあって当然です。
しかし、私は人とその想いをつなぐのが商社人なのだ、ということは忘れたくありません。言葉や習慣が違っても、つまるところ人と人であるという感覚は大切にしていきたいと思うんです。お金を産みだしていくなかでも、その前提にあるのは「便利な物、新しい物をつくりたい」という人の想いです。私たちは人の顔色をうかがうのではなく、想いを実現するために信頼を勝ち得て、必死に動く。そんな原点を大切にしながら、商社人としてこれからも働いていきたいと思っています。
中国と日本を行き来して、忙しく駆け回ってもらっていますが、海外に行っても動じない底力のある男です。
商社人として自らの人間性を買ってもらえるというのは、この上ない喜び。彼はどこに行ってもそんな関係を作って帰ってくる。たのもしいですね。
後輩を育てていく立場にもなっていますので、どんどん部署を引っ張って行って欲しいと思います。
小泉 貴明
大阪樹脂部 部長